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永遠平和のために~プロローグ

kant1

永遠平和のために カント  池内紀・訳

 池内紀が翻訳した「永遠平和のために」(綜合社発行、集英社発売)を新聞の書評で知って、本屋に行ったが在庫がなく、この春になって重版をやっと購入しました。

 カントの本は大学時代以来のことで、今の自分の頭に理解できるかどうか、自信がなかったのですが、今から言えば先時代の翻訳のように、わざと難解に訳しているのではと訝る面のある哲学書とは一線を画し、読み下した入り込みやすい一冊という印象でした。これは原書が小冊子程度のボリュームという性格も多分にありますが、翻訳者の手腕によるところも大きいと思いました。

 本書の導入部は、カントの論評から抜き出したセンテンスと藤原新也、野町和嘉、江成常夫という3人の写真家の写真(おそらくすべて既発表)を組み合わせたもので、カントの本編に入る前の準備運動としても効果的です。もちろん、本質は準備運動ではなく、本書を特徴づける重要要素であることは承知の上ですが、その効果は本書を読んでもらうと理解いただけるでしょう。

 本書の年表を見ると、「永遠平和のために」が出版されたのは1795年、カント71歳のときでした。カントはもうすぐ80歳というところで亡くなった当時としては長寿の人でしたが、代表作である批判3部作を発表してから数年後でしたから、カントにはどうしてもまとめ上げておかなければならない気持ちがあったと想像することは難しくありません。

 カントが生まれてからの歴史を戦争という観点で調べてみると、1740年からオーストリア王位継承戦争、1756年に英仏の七年戦争が始まり、1772年はプロシア・ロシア・オーストリア間で第1回ポーランド分割(1793年第2回、1795年第3回)が始まり、1775年にはアメリカ独立戦争、戦争ではありませんが1789年にはフランス革命が起き、フランスでの第1次共和制につながります。あとは言わずもがなのイギリスでの産業革命とヨーロッパ列強などの植民地政策は戦争との関係においても重要な出来事でした。

 それまでの産業というか、人の営みが大きく、しかも急速に変わる中で、カントは感じ取った兆候を含めた「よからぬこと」に対し、黙っているわけにはいかなかったのでしょう。

 およそ210年前の老哲学者の小冊子が今日、和訳され出版された意味を考える必要があるのではないかという思いが一層強くなりました。日本人に分かりやすく時代を区切って、およそ昭和の時代以後、今日までの歴史と照らし合わせながら、カントの言葉を考えてみる読み方も許されるのではないかと思っています。

 そこで、本書と(努めて)近現代の歴史とを照合させながら考えた一端を、これからシリーズで掲載していきたいと思います。分かりやすい和訳といいながら、理解が及ばなかったり、誤解している面はあるでしょうが、ご容赦願えれば幸いです。

 多少、理屈っぽい話になるので、このシリーズの「続きを読む」のほうは、関心と時間のあるときにお読みいただければと思います。まだどのように書けるか想像付きませんが、この前置きよりは簡明に書けるよう努力します。なお写真と文章は相関性がありません。

 今回はプロローグということで、次回から本編に従って載せていきたいと思っています。
 長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。


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開設4周年となりました。

テーマ : 紹介したい本
ジャンル : 本・雑誌

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Re: 永遠平和のために~プロローグ

平和とは何かと・・あらためて考えたことが
なかったけど、それは同時に戦争や暴力を
考えることかもしれません。そして色んなことが
見えてくる~ 次が楽しみですね。

Re: 永遠平和のために~プロローグ

なかなかいいシリーズになりそうですね。

Re: 永遠平和のために~プロローグ

平和というものの定義は凄くいろいろとありますね。戦争が起きないだけがほんとの平和かというと、そうではないかもしれませんね。あらゆる意味で平和になるというのは極めて難しいのかもしれないですね。

Re: 永遠平和のために~プロローグ

平和、もちろん平和がいいです。
見せ掛けの平和じゃなく、皆が笑顔で居れる平和が。

開設4周年おめでとうございます。

Re: 永遠平和のために~プロローグ

ホセさん、平和と聞くと第一に戦争を連想しますが、
平和とはもっと広い影響があるように思います。
そんなことにも言及できればといいのですが、どうなりますか。

Re: 永遠平和のために~プロローグ

森の生活さん、未知数ですが、どうなりますか。
理屈っぽくて敬遠される不安も。

Re: 永遠平和のために~プロローグ

farfarsideKさん、まずは戦闘による戦死者、戦いによる犠牲者を出さないことが第一歩ですが、それだけで平和=幸せではありません。
もっと理解している人が世の中にごまんといるはずですが、一人でも多くの人に読んでほしくて駄文を重ねる積もりです。

Re: 永遠平和のために~プロローグ

yoshiさん、平和ボケと言われますが、はたして日本は平和なのかと思わざるを得ません。
平和な状態をつくるのは並大抵のことではありません。

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